相続における現物分割とは？適用しやすいケースやメリットを解説

現金のように1円単位で分けられない不動産を相続する際は、相続人の間での分け方についてよく検討する必要があります。
一般的に選択されることが多い現物分割について知っておくと、相続で役立つはずです。
そこで今回は、相続における現物分割とはなにか、適用しやすいケースやメリット・デメリットについて解説します。

相続における現物分割とは

現物分割とは、財産をそのまま相続する方法を指します。
この方法は相続の基本的な手法であり、一般的に好まれるでしょう。
兄弟間での具体的な例を挙げると、現金を半分ずつ分け、土地は片方が、自動車はもう一方が相続することがあります。
また、土地を分筆してから相続分けすることも現物分割の一例です。
分筆とは、1つの土地を複数の小区画に分割し、登記簿上でそれぞれを独立した土地として登録し直す手続きです。

相続における現物分割のメリット・デメリット

現物分割のメリットは、手続きが簡単である点です。
相続の際には名義変更などの手続きが必要ですが、現物分割では1つの財産につき相続人が1人となるため、手続きが比較的複雑になりにくいです。
一方で、ほかの相続方法と異なり、全員での売却活動や土地の評価額算出などの手続きを省略できるメリットがあります。
ただし、現物分割には不公平を感じる場合があるでしょう。
たとえば、遺産が不動産のみで他の財産が少ない場合、誰が不動産を相続するかで紛争が生じる可能性があります。
また、ほかの財産が不動産に比べて価値が低い場合、不動産を受け継がない相続人から不満が生じる可能性も考えられます。

現物分割がしやすいケース・適さないケース

現物分割が適しているケースは、多様な遺産が存在する場合です。
複数の不動産にくわえて株式などの財産があると、それぞれの相続人が受け取れる遺産があり、不公平を感じることは少ないでしょう。
また、預貯金や現金があり、それらで調整できる場合も現物分割が適しています。
たとえば、誰か1人が不動産を相続する場合でも、ほかの相続人が同等の現金を相続することで公平な分け方が実現することが可能です。
一方で、不動産の性質から現物分割が適さないケースもあります。
共有物が建物であり物理的に分割できない場合や、分筆により土地の価値が著しく低下する場合などは、現物分割以外の方法を検討することが望ましいです。

まとめ

相続における現物分割とは、財産をそのまま相続する方法を指します。
現物分割は名義変更などの手続きが簡単であるメリットがある一方、不公平に感じやすいデメリットもあります。
多様な遺産がある場合や遺産に預貯金や現金がある場合は比較的公平な分け方ができるため、現物分割がしやすいでしょう。
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